このジオンの系譜はサターン版ギレンの野望をベースに要素を追加したような作りになっていて、ゲーム進行においては同じ部分も多い。
それでいてサターン版の20万本に対してプレイステーションで出た本作が50万本を売り上げたというのはハードの人気の差を感じずにはいられない。
それはさておきサターン版はESP開発だから出来が良いと言われることがあるが、この記事の中盤ではプロデュース業務をしただけだと語られている。それにスタッフロールを見ても当時の雑誌インタビューを見てもベックの人間が関わっていることは間違いない。

「機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜」
プレイステーション/ドリームキャスト/プレイステーションポータブル 発売日 PS:2000年2月10日 DC:2000年6月29日 PSP:2005年8月11日 PSにはバグを修正した後期版が存在する
開発会社:ベック(浪川D)・PSP移植はキャトルコール ジャンル:戦略シミュレーション |
勢力数:12 =(デフォ2+隠し10)
生産ユニット:242種類 図鑑登録機体:294種類
エリア数:74=(特別エリア15+通常エリア59) 第2部から登場する特別エリア4つ
ターン制限:前半は100ターンで終了・後半は無制限 部隊数制限:200部隊 生産制限機体なし
PS:メモリーカード(15ブロック)=セーブ4か所(3ブロックx4)+システムデータ(3ブロック) DC:ビジュアルメモリ(200ブロック)=セーブ2か所(50ブロックx2)+システムデータ(50ブロック) PSP:セーブ15か所+システムデータ(128kb) 全機種で中断データを1か所残せる。ロード時にデータが消去されるタイプ。中断データはシステムデータ内に記録される。
難易度選択:very easy / easy / normal / hard / very hard |
拡張機器:PS用ソフト『攻略指令書』に特殊なシチュエーションのセーブデータを収録 DC版は同じデータをインターネット配信で販売していた PSP版は同じデータを本編ソフトに内蔵して条件を満たすと使用可能になる |
資料価値 4
クリア時間 4
クリア難度 4
コンプ難度 4
個人的好き度 5
・ギレンの野望と言えば原作と違う展開のIFイベントが魅力である。ただし前作と共通のものは多い。
スターダストメモリーとZガンダムのイベントを再現した第2部が加わったが、1部に比べるとイベントの数は極端に少ない。
イベントと同時にUC0083以降のユニットも追加されたが、その他にもラルや三連星が生き残っていたIFの専用機やギャンが量産されたIFの派生機などのゲームオリジナルも多く追加されている。ガンダムmk2の試作タイプも系譜からの新機体。
前作で初めて登場したゼロに関連するゲームオリジナルキャラとしてレイラという強化人間も新規追加された。
・クリア時間は前作より確実に伸びた。
2部制になったので、一年戦争が終わってもスタッフロールは流れない。
感覚としては仕切り直しでもう1回ゲームが始まる感じ。
しかも全MAPの戦闘が局地戦になったため、各エリアで5ターンずつ戦闘が行われることになり、これもプレイ時間が長大化する理由としてでかい。
今回、1回目を連邦でやって1部に23時間。99ターンまで進めるのに2時間。2部を18時間。合計で43時間も掛かった。
ゲームに慣れた後にやったジオン側のプレイでも1部の完全勝利まで18時間。2部終了に22時間。合計で40時間掛かった。
・難易度は高い。特に初見に厳しい。
ヘルプメッセージの配慮は見受けられるがチュートリアル的な導入が無く放り出されるので、ゲームの理解度が難易度に大きく影響する。
地味に難易度の変更ができるようになっているものの、
主な変化はCPUの資産であって兵器の運用や進軍のパターンが変わるわけではないので初心者の救済にはなってないように思う。
そもそもデフォルトがイージーだし。
とりあえずサターン版よりも難易度は上がっていると感じた理由として、
エリアMAPに変わったことで相手の具体的な戦力が分からなくなったことが大きい。
これによって 攻め時の判断が鈍る。そして隣接しているエリアは1ターンあれば攻めてこられる状況にあるので常に気を抜けないし戦力が分散しがちになる。印象としてもCPUはサターン版より攻撃的だったと感じられた。エリアを攻めている最中に別のエリアから固まって増援がやって来ることが多く、気にしていなかったところに部隊がいたので距離感が掴めなくて難しいポイントだった。そのまま増援に押し切られるというのは慣れてない人にありがちな負けパターンだと思う。
シミュレーションゲームに苦手意識があるならサターン版の方が遊びやすいのかもしれない。
次に外交システムの分かりにくさも初見プレイヤーには対応できないと思う。資金と資源の遣り繰りが重要なこのゲームで、資金と資源を無駄にしてしまう可能性があるので、分からないなら使わない方が良いまである。
あと2部のめんどくささも一応挙げておく。多くの戦略シミュレーションがそうであるように軌道に乗ってしまえば後は簡単で、軌道に乗せるまでが難しい。1部をクリアした後は制圧状況をリセットされるので、もう一度軌道に乗せる必要がある。満遍なく広がった戦力をどう配分するかに気を遣うし、攻め方の選択肢も多いので、序盤は頭を悩ませることになるだろう。
ちなみに有利に進んだ時の分岐である完全勝利の2部よりも、苦戦した人が進むことになる判定敗北2部の方が難しいのでプレイヤーの力量には噛み合ってないなと思った。
連邦と比較すると、ジオンの方が攻めるルートが多くて難易度は高い。地形を理解していないと移動もままならないだろう。
どれも初心者が躓きそうな部分が多いという理由の難しさであり、仕様を理解しているのであれば、決してバランスが厳しいゲームではないので難しすぎるということはないと思う。
というのも、知ってるだけで難易度が変わるテクニックもあるので、慣れればむしろ簡単に感じて来るはず。
・今作から図鑑要素が追加された。
一通りクリアするだけでは見つからないユニットもいる。
難易度の高い要素は無くて、普通にクリアできれば達成できる。
ただ選択肢による分岐があるので時間を掛けて何周もプレイしなければならない。
勢力は最低4周すれば全て出せる。
・一番に褒めたいのはボリュームの多さ。
前作の内容を内包したまま、それ以上に多様なイベントが発生する濃厚なゲームだった。第2部については完全に肯定はできないけど、これがあることで複数の状況が生まれるので、いろんなことを試したくなったし、より深い歴史のイフを体験することができるようになった。
オマケとはいえ別勢力でのニューゲームが8つもあるし、特典として特別編なんていうサービスもわざわざ用意してくれている。バグの多さを見る限りそんな余裕があったとはとても思えないけど。PSP版なら更に特典で攻略指令書データも用意されているわけだけど、申し訳ないけどそんなに遊びきれない。
2部制が嫌な理由は仕切り直しになるから。だったら繋げるより独立したゲームモードでいいのにって思った。
何周もするようなゲームなのに1ゲームがすごく長くて、決着が付いたと思ったら同じくらいの長さの延長戦が待っているっていうのはうんざりする部分もあった。
2部についてはゲームバランスの調整も足りてないように見えることが多くて、イベント発生のタイミングがだいたい遅くて、何も知らないとイベントが起こる前にクリアしてしまう。イベントを見るために相手を殺さず待たなければいけなかったりする。
良い所はアニメが流れるところ。
フルボイスなところ。
アッグシリーズによるジャブロー進入作戦を実施したり
シーマを逮捕して星の屑作戦を成功に導いたり
ジオンを勝利に導けるところ。
実際の歴史では失敗に終わった作戦でもチャレンジしてみようという気分になれるようなちょうどいいガバさがあるのが良い。
あとエリアの色が一色になっていくのでエアキャップを潰すがごとく ついつい遊びたくなる中毒性があった。