当時の世間の評価では、ゲームディスクに収録された内容に鍵を掛けてDLCとして別に料金を取ったことが批判された。
今となってはユーザーが慣れているから取り沙汰されることはないだろう。
"新ギレンの野望"の新しい部分は
総司令官のパートはCPUが負担してプレイヤーは部分的に操作するシナリオが新設されたところ。
パッケージイラストにユニコーン勢が描かれているけど
扱っている時代は79年と93年の2つ。
「機動戦士ガンダム 新ギレンの野望」
プレイステーションポータブル 発売日:2011年8月25日 開発会社:ベック (浪川D) ジャンル:戦略シミュレーション |
シナリオ数:=(10+DLC8)
ユニット図鑑登録機体数:366種類 そのうち武装/変形 差分57くらい
特別拠点数: 10+5(0079) 10+7(0093)
ターン制限:999ターンで強制エンド
部隊数制限:300部隊
セーブ:20個+中断データ1つ+システムデータ 中断のセーブデータはコンティニューしても消えない
難易度選択:easy / normal / hard / very hard 最初からすべて選択可能
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DLC:追加シナリオx8 各200~600円 セット価格3000円
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資料価値 2
クリア時間 5
クリア難度 4 (3)
コンプ難度 4
好き度 4
・今作では主人公を18人から選べて、それぞれのIF展開を堪能できる。
ギレンとレビルは前作から選べたキャラで、イベント内容は変化が感じられない。
他のキャラはゲームの導入部分が原作で死ぬ直前だったりして、そこで史実から逸れることでIF展開に進む形式。
新規アニメーションはタイトル画面で放置した時のMV風デモムービーだけある。出演はゼータやダブルゼータからが多いけど、それってゲーム内容に沿っていないので違和感を覚える。ゲーム中のイベント演出は静止画のスライドショーでアニメではない。
ゲーム用の新規ユニットなし。
・クリア条件は難易度ノーマル以上で全キャラの完全勝利エンディングを見ることとする。
いくつかのシナリオはマルチエンディングになっていて完全勝利エンディングだと通常クリアとは別に介入ポイントが貰える仕様。
DLCを含めた18回分のクリア時間は合計101時間だった。
・まず介入を使うかどうかで難易度が大きく異なる。
介入は一年戦争のシナリオに逆シャア時代のMSを持ち込んだり、初期メンバーにニュータイプキャラを揃えたりできて難易度を大幅に下げられる。普通に考えてズルいので自分は自制して全シナリオクリアした。その中では一年戦争アムロが一番難しかった。あとブライトとテムとギレンの序盤とラルの序盤も難しかった。
そしてそのギレン編以外の難しい理由というのが、味方の大部分をCPUが操作するという所にある。もしプレイヤーが操作できればスムーズにいく話でも意思疎通の手段もなく連携が取れないことで必要以上に難しくなるような場面に直面することがある。
そんな時に、いち兵士の立場で戦場をコントロールしようなんておこがましいことだし、上官のやり方ではどうやっても勝てない戦争というのも歴史的にあっただろうとか思うと現実っぽい経験ができるのかもね。
完全勝利エンディングを目指す場合、シナリオによっては分かりにくい条件になっているものがあるので事前情報は必要になると思う。
・コンプ要素は介入関連とギャラリーの図鑑の二つ。
各シナリオのクリアにより介入ポイントを増やし、それに伴い介入用のキャラも増やす。
その際は最高難易度でのクリアも必要となる。でもそれは介入を使えるから楽。
図鑑コンプにはDLC必須。
・前作からプレイしているユーザーとしては、
ギレン編もレビル編も結局は前から出来上がっているものの流用に思えたが、
逆襲のシャアのアムロ編とシャア編は前日譚を含めた1本のシナリオとして満足度が高くて個人的には新ギレンをやる意味がここに集約していた。この二つはイベント密度が高くて分岐もたくさんでやりがいがあって良かった。
やってみると分かるが、部隊長や局地司令のシナリオはイベントが碌に作り込まれていない。導入部分がイベントの大部分を占めていて、そこからの発展が無い。エンディングも奇をてらったものが無くてあっさりしている。だからIF要素に期待しているとがっかりするがゲームとして楽しめない訳ではない。
新ギレンの野望ではユニットのパラメータが一新されて戦闘バランスは相当変化しているから前作をやっていても同じ戦い方にはならないだろう。ワールドマップの仕様にも変更があって、今作の方が直感的で好き。
特別拠点での戦闘では防衛側に有利な要素が新しく盛り込まれていて、動かない施設をいちいち全滅させないといけなかったりするのが理不尽に思えてしまう。プレイヤーは基本的に攻める立場だから守りを強くするのはやめてほしかった。今回はそれを見込んで多めの戦力で攻めようとか戦略を考える余地はあるから、基本的なゲームプレイの部分は従来通り楽しめるようになっていて、戦力を整えて占領地を増やして地の利を得ていく過程が楽しい。
キャラクターにスキル要素が追加されて個性化が進んだのも面白い部分。エースパイロット以外のいろんなキャラを使ってみたくなる。それはそれとして強いキャラを乗せた時にユニットが強くなりすぎるゲームバランスで、数がどうこうより一騎当千(6機スタック)の方が勝ちやすい。それは簡単だけど好みではない。強キャラを介入できてしまうシステムもその戦法を助長している。
ほかに細かいことを言うとSFS搭乗がようやく共通システムになったのは はっきり進化した部分だといえる。こうなるまで ずいぶん長いこと掛かったね。今作はドダイの活躍が目を見張る。
これまでの総司令の立場とは違う、部隊長や局地司令の視点で遊べるのが本作の一番の特色だと思っている。
その実態は総帥とそれ以外という関係。
プレイヤーが戦場全体を見渡す必要が無くて、煩雑な兵器の開発や生産を省略してくれる このモードは、シミュレーションに苦手意識を持つライトユーザーに対してのアプローチだったように見えた。
それに対して思うのは、ゲームルールは変わっていないから できることが減らされているだけで、思ったほど差別化されていない。CPU依存度が高いのでそれによって難易度が上がっているのが窮屈だなという感想。
アムロ編は階級が低くて味方も少ない。貧乏所帯から階級を積み上げて部隊の規模を拡大していく感じはRPGみたいな趣があったものの、
そもそもギレンの野望のコンセプトが、広い視野を持って地球圏統一を目指すことにあって前線に出ないギレンが主人公だったことを振り返ってみたら、それをパイロット視点で遊ばせるのは相性が良くなかった気がする。
不満は言ったけどギレンの野望の一連の流れはレビル編とギレン編で継承しているし、逆シャア編には新鮮味があった。
アクシズの脅威と比べて特別劣るものでは無い。ユニットの種類が減っているし2部が無いから1年戦争だけで終わるので目に見えやすい部分で比較されてしまうかもしれないが新ギレンの方が良い部分もたくさんある。上位互換とはならないが個別のゲームとして楽しめる一本になっている。