ビームライフルの表現 ~スパークはアリか~
気まぐれでビームライフル作ってみた
材料は円柱3本、エミッター2つ、オムニライト1つ。
エフェクトだけ2dでやる手法もあるけど3dだけで完結してる方が圧倒的に楽なんでね。
作っていて気になったことは、銃身のブレは描きたいけど発射口からビームがずれる結果になった。ビームだから曲がらないのが理想。一瞬で出し切った方がビームらしいのではないか。いちいち発射の度にタメ動作があったら兵器として欠陥。などなど。
これをカメラを動かして撮影すると
粒子の大きさが気になる。回避する方法はロングとアップで2種類のエフェクトを用意するしかない。
これは宇宙世紀の、開発されたばかりの頃のビームライフルを意識して作りました。地味という意味です。もしアナザーガンダムだったらもっと迫力を増す演出にしたでしょう。
という訳でアニメでビームライフルがどう描かれてきたか追ってみます。
(ガンダムⅢより)平面的なビーム
まず粒子の塊が砲身に発生して、その先から放出されていく。
中心が白く光って、その周囲をピンクの膜が包んでいる。これは固まりきらなかった粒子だろうか。
(ガンダムⅢより)手前から奥に撃つアングル
1枚目で粒子が丸く固まって、2枚目で部分的に解放されるが、この時発射方向と反対側にもビームが弾けている。この反動があることでビームが打ち出されている感じがより出ている。
3枚目でビームが鋭角になり、見ための速さが増す。
4枚目は撃ち終わったライフルの銃身に少し動きが付いている。ビームの勢いの強さからくる反動で、銃のアクションとしてこれがないと生理的に気持ち悪い。
光の反射が入っているのは2枚目だけ。それは発射される瞬間で、つまりビームを伸ばして出しているというよりは、ビームの塊を打ち出しているという表現になっているからだ。
(0083より)斜めアングル
ビームライフルが出来てから4年後。ビームがドバッと溢れてから収束していく動き。
2枚目、カメラアングルで誤魔化しているけどビームの大きさがMSより大きく広がりハッタリが効いててビーム自体は複雑でもないのに迫力がある。
4枚目、撃ち終わった後の銃身は項垂れるように下がっている。これは搭乗者の精神状態の反映であり、被写体が奥に消えていくのもそのためだろう。
2枚目以降ボケているのはビームの熱からくる蜃気楼だろうか(科学的なことは知らん)。
(ZⅡ)2000年代のアニメ
実はCG作る時に参考にしたのがコレ。
主軸となるビームにカップの様に広がった粒子が覆いかぶさる。
これも弾を弾き出しているような表現で、一瞬だけライフルに光が反射しているのと、衝撃波が加わっている。ビームの輪郭が直線ではなくて、粒子の塊のように粒粒というかギザギザな表現になっている。それでも中心が白いのはシリーズ共通。
(ユニコーンより)ロングショットのビーム
デジタル化も馴染んできて、いかにも加工された光が加わっている2枚目は、とにかく強い光が発射されたぐらいの情報しかない。ビーム光の反射の表現が手軽になったことの弊害か。しかし、1枚目のボンヤリした光の表現ではエネルギーを溜めているのがよく分かる。
(ユニコーンより)ディテールのある手前からのビーム
さっきのカットからの続きです。
見所は円柱を留めていない歪んだビーム。アップ時に違う表現が出来るのが手描きのいいところで、拡散する粒子があちこちにほとばしって、まるで暴れているかのよう。
同じビームでも画角でこうも違う表現になる。
(逆襲のシャアより)
劇場作品だけあって線が一番多いんじゃないかと思うνガンダムのビームライフル。もはや直線とは呼べない。「圧縮された粒子」の解釈のひとつの形。
AGE3オービタルのライフルがこんな形状だった。
F91とVの次世代も宇宙世紀だから一応。この頃になるとビームライフルは標準装備として持っているけど、別の強力なビームで攻撃するようになってくる。ビームライフルのビームに派手さがないのはそのためで、V2のメガビームライフルレベルになってくると、ビームの周りにスパークが付く。
おまけ
(∀Ⅱ)
ビームの真軸に螺旋状のビームが追従して、根元には黄色のスパークが発生、それらを大きなビームが包んでいて、うねる様に放出されている。リング状の衝撃波も発生。
なるほど。作る前に調べておけよって感じだけど、レーザー光線の放射と捉えるんじゃなく、ピストルとして表現すれば発射口の問題は解決できる。
撃ってしまえば1/24秒未満の照射でもかなりの距離まで届くはずだから、いつまでも銃口にビームが広がってるのはおかしいことになるのか?
最初に自分がイメージしていた直線での表現はなんだったのか。今回取り上げたのは動きの印象的な部分だけど、目に止まらなかった枚数を使わない絵だと作画の都合で一本線が引いてあるだけで、本来、表現したかったものは違ったのか?
例えばビームサーベルは「オタク学入門」によるとサーベルを振る瞬間までビームは発生しないのが、正しいと富野監督は言っていた。それはエネルギーの問題であり、隠密性の問題であり、秘匿性の問題であり、軌道を読まれないためだ。
逆襲のシャアでその性質が取り入れられたことを考えれば、本来のビームライフルとは、逆襲のシャアで表現されていたものだったのかもしれない。
あの、銃身に溜まらずに軌道上で粒子が拡散して先端だけが残る、あのビームライフルだったのかもしれない。
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