2014年 冬アニメが最終回を迎えた感想 その2 (5作品)
「覇権アニメ」って言葉を使う人って虎の威を借る狐のようで好きではない。アニメ会社は権利を取り合って争っている訳ではないし、売れたことで他のアニメ会社を支配できるわけでもない。「覇権アニメ」と呼ばれる作品が消費者の購買力を奪う、独占できるというのなら話は別だが、消費者のリソースは特別限られたものではないから、買いたいものが無ければ買わないし、本当に素晴らしければ複数の作品を買うし、アニメを買う習慣が無い人は好きなアニメでも買わない。
完全に消費者目線の言葉であり消費者のエゴを満たすためのワード。だと思っていたが、発信者はアニプレックスの広報担当社員らしい。絶望した。(あくまできっかけを作っただけだけど)
キルラキル(全24話)
これくらい娯楽に徹していて、和製アニメとしての芸術性があるアニメが週一で放送されてる現在のアニメ界はかなり恵まれてる状況にあるなと思います。
惜しいのは裸のシーンとか、男性もそうなんだけど女性の露出が多すぎで、公にはしにくいこと。ブレンとは違ってふつうにいやらしいし。
だいたいすごくて作画も脚本も音楽もすごかった。
脚本は1話中で起承転結をつけるために途中段階をとっぱらう大胆さがすごい。
4話での登校障害物レースは時間ぎりぎりでスタート地点より前に戻されてそこからゴールさせるという超飛躍。
7話でケンカ部を立ち上げて成り上がり、家族がバラバラになって最後には元に戻る話。
16話は総集編かと思ったらものすごい勢いで話が進んでOP前のアバンで総集編が終わっていた話。
特に挙げるならこの辺の驚きが大きく、序盤の自由にできる段階の話が、1話完結でのびのびとしていて良かった。
びっくり箱のように毎度別の部活が襲ってきて特色ある攻撃を仕掛けてくるアイデア勝負みたいな馬鹿話を評価する。
終盤のラギョウ理事長との戦いは長々とやりすぎというか、普通にやっていて勝ててないのにずっとぶつかっては弾かれてて話の進展に乏しかった。
16話の説明回から実は服の中の繊維が寄生体エイリアンであるというSF要素が明かされる。そこから、纏自身もその繊維に侵されている事実が明らかになる辺り、ショッカーに改造された仮面ライダーとか、石ノ森章太郎、永井豪作品みたいな昭和臭がバリバリした。
作画は前期今期あわせても1番に思う。
原画が良いから動画がなくても絵になってるし、針目縫の戦闘なんかは動かさないことが実力差の表現になっていて、そこも面白かった。
色使いも四天王などの回想シーンは毎回セピアがかって特殊で面白かった。
11話デンドロビウム戦
12話暴走した纏
15話通天閣辺り
18話大文化祭でずっと戦闘回
とんでも超作画がありすぎて、あまりに興奮して、一気見してたらほんとに胸が痛む思いをした。ピークは大体この辺。3話もアングルの回転が凄かったけど変だったな。
もちろんこれらだけでなく、毎回平均して良い動き、良い爆発があった。
音楽はそういうオファーがあったんだろうけど、主張が強くてバックグラウンドミュージックにはなっていなかった感じがある。ヒーローのテーマとして毎回決まった所で決まった音が鳴る。14話はそれを逆手に取ったギャグになっていた。そういう演出なんだから音楽家は間違ってないし、作品の顔としてよく定着させたよね。
どんるーじょーうぇー
あと音関係で、股間が毎回SEで主張するのがツボ。
ガンダムBF(全25話)
すごい評判が良かったアニメ。
それだけに期待しすぎた状態で見てしまった。
ガンプラを題材にしているからアイデア勝負の作品になっていると思うじゃん。でも大会出場者が使うガンプラって、ちょっとデザインをアレンジしただけの「ウイングガンダム」だったり「ガンダムエックス」でしかなく、そいつらは序盤で出てきたのに、大会でも同じガンプラで戦うから、その頃には演出の引き出しが尽きているという。
クレジットされてるメカニックデザインって今までのガンダム作品に関わった人ばかりではないですか。そこから離れもせずに「自由な発想」はないんじゃないか。
もちろんガンダムを題材にしたプラモデルなので世界観は逸脱しなくて良かったんだけど、保守的に感じた。
魔改造したがる人はあの世界にいなかったのか。いてもジオングにズゴックの爪を生やすくらいだった。
面白かったのは綿を使って勝ったべアッガイとか、ジオン兵を使った爆弾攻撃のような、工作面で勝負をしていた試合。綺麗に作ったから強い。とか言われてもアニメでの表現には適していなくて、どういう風に工夫をしたから勝敗に繋がったのかを見せて欲しかった。グリスを塗ったから爆弾が外れたみたいなものがたくさん欲しかった。
そういうのが無いと結局、思いの強さで勝ったみたいなゴリ押しの演出で、なんで負けたのか不明瞭という腑に落ちない戦いになる。
たくさんのMSが映像化されたのは良かった。GセイバーやSガンダムがアニメになるっていう感動は大きい。モブの中に知ってるMSを見つけるというだけでガンダム好きにとっては楽しいアニメになる。ガンダム劇中のセリフもそのまま出て、セイがファースト全43話のセリフを暗記していたシーンもガンダム好きなんだという気持ちが伝わってきた。けどなんでファーストファンの愛機がストライクなんだ。ガンダムSEEDに対する思い入れを何か語ったことあった?ガンダムが好きでガンプラ制作が上手いという設定以外に掘り下げの少ない主人公のキャラは弱い。
スケールの違いに言及したのは巨大ザクが出てきた12話しか記憶にないけど、そういう規定は裏設定としてルールがあったのかな。
ウィッチクラフトワークス(全12話)
コンポジットが優秀で、積極的に背景に回り込みを使っていた印象。
街が破壊されてビルが壊れるくらいの爆発が起きるような魔女の力のぶつかり合いを映像化しているのは見所だと思う。
特に4話のウサギとクマのプロレスは戦闘内容もトドメの出鱈目加減も良かった。
話的には力のインフレが起きていて、全知全能な人がいるからまともなバトルものにはならない。ただその学園長も一瞬だけ力を抑えられて、シナリオはちゃんと盛り上がったけど。
そういうことで脇役の魔女たちにスポットがあたりにくいというか、やられ役の5人組はバトル以外の日常シーンでは面白いのに本筋に絡んでこないのが残念だった。
序盤が軽いからコメディ作品かといえばコメディ一辺倒ではなく、実はシリアス方面の割合が大きかった作品だから覚悟してないとしんどい。
やっぱり個人的に評価するのはコメディパートで、07話なんかでは例の五人が寝込みを襲おうとして高宮の部屋の前で張り込むんだけど、炎の魔女が寝ておらず時間の経過を待つ、1分間まるまるFIX構図変わらずバックで学園長が絡まれてる声だけ聞かせる演出は特徴的で面白かった。ただ待ってるだけじゃなくて第三者も巧妙に絡めてあるところが、待ってるだけの無意味さを助長していて実に効果的。
06話の妹に襲われ「ちょっと車をぶん投げられて銃撃されてその上悪は去ったなんて捨て台詞を吐かれたくらいよ」「駄目だかなり怒ってる」というセリフのやりとり、08話の学校で暴動を起こした番長の異名がクマ殺しである由来として「そのトラがクマ吉って名前」だったから。みたいにセリフ回しがとても好き。たぶん原作読んでも面白いんだろうな。
魔女が題材というだけあって若い女性がたくさん出てくる作品ではあった。なのに主人公だけは男というのはお約束なのだろうか。
ズヴィズダー(全12話)
話の風呂敷の広げ方に問題があって、幼女の理想の語り口が高貴で賢く聞こえたために高尚な作風だと感じてしまった。箱を開ければ単なる活劇エンターテイメント作品であった。
広げた風呂敷も特に畳まず、特に07話での巨大化の謎は意味ありげなのだが、私には分からなかった。2クール目ありきなのだろうか。
父親というボスが出てくるまではズヴィズダーとホワイトライトとの抗争が主で、主人公と絡んで仲良くなるのは身内よりも敵役である れんげちゃんとの方が多かったというのは意外だった。09話の温泉回で正体がばれて、11話で二人で逃避行するような関係になって、いとも簡単に同調しだすから、もう悪も正義も関係ない話だった。
好きな作画は08話
テーブルの上のホワイトファルコン戦
その後のモノレールの上のホワイトファルコン戦
前後移動、奥手前位置入替が効いてる。
未確認で進行形(全12話)
いいなずけの関係とはいえ、恋愛沙汰を主題に置いてあって少女漫画的な作風だった。
やっぱり作者は女性だった。
個人的な感想だけど男性の描き方が合わなくて合わなくて。「小紅の作ったものならなんでもおいしいよ」って従順に囁いて、なんでこれでときめくんだよってことが理解できないから女性向けアニメも普段から見ないんだけど、このアニメが男性をターゲットに捉えてないかといえば、出てくるのがほとんど女子キャラしかいないことも含め男性向けだと思う。
本筋は小紅がイチャついて紅緒が嫉妬することの繰り返しで、恋のライバルが登場してみたものの相手にならず、幼女と子供レベルのいがみ合いで絡むのが面白いキャラで落ち着いた。
小紅の周囲でキャラが騒いでいるだけの構図で、暴走する会長に冷静なツッコミを入れる友人もそれ以上のことをしないように、キャラクターがキャラクター以上の役割をしないキャラクター魅せアニメだったかも。
12話の最終回では居候が居なくなるという鉄板ネタで幕を引いた。特に大きな事件も起こらない日常回帰型の無難な終わらせ方だと思う。
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