ブレイジングシャドウのストーリーやら感想
ブレイジングシャドウは2013年~2016年までガンダムエースで掲載された小説。単行本は全4巻。
著者は戦場の絆のプレイヤーとしても有名な板倉俊之。
「一年戦争が4年前」という記述があったので宇宙世紀0083~0084あたりのはなしだろう。
かんたんな要約
主人公は16歳の少年で連邦軍の特殊部隊に所属していた。その部隊のトップは悪い政治家だった。
利用され切り捨てられた主人公のチームはジオンの元に送り込まれて全滅する。
これは辛うじて生き延びた主人公の復讐劇。
話の規模に対して登場するオリジナル機体が多め。
そして宇宙世紀0083という設定との整合性は軽視されているように思えた。
なのでアムロとかマクベの名前が出てきたけど、そういうのと関係ない個別の作品として扱いたいと思った。
RGM-79GB ハイブーストジム(ジムコマンドベースの個人カスタム)
RGM-79CA ジムレイド(登場しない)
EMS-10F ヅダF
MA-04-X-3 ウムガルナ(ザクレロに近い)
MS-09F/Br ドムバラッジ(おそらくゾンクシーの個人製作)
YMS-23C グール(ゾンクシー作)
形式番号なし ゲンブ(ゾンクシー作 アッザムに近い)
セイバーブースター(セイバーフィッシュのカスタムでフェルナンド命名)
率直な感想として一番に来るのは、筆者の人を騙したいという意思が強すぎてめんどくさかったということ。
実は悪者でした、実は生きてました、実は騙すための演技でしたと、種明かしをした後に時間をさかのぼって改めて同じシーンを描く手法が多すぎて読んでる側としてはうっとうしかった。
1巻
・1話「シャドウズ」
シャドウズという戦災孤児を集めて教育した特殊部隊が非公式に存在した。
隊員は全36名、15チームまで存在して、チーム2・9・11は現在欠番。
創設者は連邦軍中将ルオンズ・ヤージ。
カイン・ラグナートはサイド7でザクの襲撃により両親を亡くした戦災孤児で、ジオンへの強い復讐心からシャドウズに入隊した。
カイン、ザルフ、リネマの3人はチーム5として活動していて、今回の任務はジオン残党と接触する連邦政府ムバ派のハイゼル・アクトスをジオンもろとも消し去る旨のものだった。
実際ハイゼルは平和的な解決を望んで説得に出向いていただけだったのだが、首相の座を狙うルオンズにとって邪魔だったので消された。
彼は政府と軍の癒着を危惧し、退役した軍人が政治家へ転向することに反対していた。それが殺された理由だった。
そうとも知らず言われるままに任務を果たしたチーム5に次の任務がくだる。それは野放しにされている地球のジオン採掘基地を攻めろというものだった。
●チーム5のMS
カインラグナートのジムスナイパーカスタム2
ザルフワッケンのジム改
リネマサントのジム改
・2話「ヘルズゲート」
奇襲を掛けたつもりがドムバラッジを含む8機のMSに包囲されるカインたち。
基地指揮官のカノラ・ゾンクシーから自分たちが嵌められたことを明かされる。
ルオンズはカノラと結託して用済みになったシャドウズの殺害を頼んでいたのだった。
先行していたチーム3もそうして処分され、MSの残骸もそこにあった。
MS戦を放棄してMSから降りた3人は基地内の通路に逃げ込む。
その先で発見したHLVによる脱出を試みるが、リネマは銃撃戦で死亡し、ザルフもHLVを守るために自ら犠牲になった。
発射には成功したものの攻撃を受けコントロールが効かなくなったHLVは宇宙を彷徨う。
・3話「シュテンドウジ」
視点は変わってカインはお休み。
一年戦争開戦時にジオンによって毒ガスを撒かれたコロニーのひとつにサイド4ロディニアがあった。
そのコロニーの生き残りのウイングス・ハウザーらは連邦軍と偽っているジント・モーグンに保護されるが、ウィルスに感染している可能性があることが理由で他のコロニーに住むことができずに、コロニーに接舷していたトラファルガ級巡洋艦プランダーを住居として今まで生きてきた。この戦艦はジオン軍がこの日の為に盗んでおいたもの。
MSの残骸を拾い、売ることで生計を立てて遂には
トラファルガにMSデッキとカタパルトを増設し最新鋭であるジムカスタムまで所有。
民間艇を襲って金目のものを奪う海賊「シュテンドウジ」を名乗っていた。
その日も海賊行為を働き、ランチを襲う。そこで遭遇したジオン残党のザク5機と戦闘になるが、これに勝利する。その帰りにカインの乗るHLVを発見して回収した。ウイングスの妹であるセリア・ハウザーは予言持ちなところがあって、HLVを見つけたのも彼女だった。
●シュテンドウジの戦力
ウイングスハウザーのシルバーヘイズ(ジムカスタムの改造機)
フェルナンドペレスの量産型ガンキャノン
セリアハウザーのハイブーストジム
それとよく分からずに購入して乗り手のいないジムスナイパーカスタム
素人集団の海賊にしては大それた戦力を持っている。ジムなら民間人が持ってても問題ないと思ってそう。
・4話「漂流者」
カインは医務室に運ばれた。かなり衰弱している。
・5話「ファラク」
先程「シュテンドウジ」が撃墜したザクの所属していたジオン残党は「ファラク」という。
「ファラク」のリーダーはジオン信奉の強いロギ・リニトラム。いまだテロ活動を繰り返していた。
ロギはシュテンドウジに興味を持ち、共に腐敗した連邦を倒そうと話を持ちかけるが、ウイングスが断ったことで戦闘になる。
・6話「激突」
ファラクとのMS戦
敵は3機と思われたがもう1機ヅダFの狙撃によって劣勢に陥る。
その時カインの乗ったジムスナイパーカスタムがカウンタースナイプでヅダFを撃墜。
ファラクは撤退した。
●ファラクの戦力
ムサイ
ガルドクレイズの高機動ゲルググ
アズバレンの高機動ゲルググ
マハガンレズナーの高機動ゲルググ
ヒックシャーマンのヅダF
2巻
・7話「結託」
ロディニアから離れられればいいが他に行く場所がないためファラクの襲撃に備える。
シュテンドウジに命を救ってもらったカインは恩をかえすために協力。
襲撃までの間に新たにセイバーブースターを調達。
カインのHLVに積んであったドムバラッジもある。
・8話「蛇神か鬼か」
ずっとファラクとの戦闘。
相手は戦艦3隻とMS15機。
ウイングスはズゴックEの腕を付けたガルドのゲルググと部下ゲルググ4機の計5機を相手にする。
セリアとフェルナンドはアズのゲルググと部下ザク4機の計5機を相手にする。
残りのマハガンのゲルググと部下ザク4機の計5機は狙撃機を警戒して動いていた。
ウイングスたちはわざとロディニアを守るように動いて注意を向ける。
戦艦プランダーとカインはロディニアから100キロ先にあるマウリティアコロニーに潜伏しており、チベ3隻のうち2隻を撃沈。
離れた位置でムサイから見ていたロギは
マゴロイのヅダFに部下ゲルググx3を付けて投入、マウリティアの背後から侵入してプランダーを狙う。
これを先読みして潜んでいたジントの乗ったドムバラッジが応戦して1機で全滅させる。
その頃、ガルドの隊とアズの隊も全滅していてマハガンは投降の意思を示す。理由は海賊相手に戦う意味がないから。自分は兄の仇のアムロレイと戦うのが目的だから。マハガンと残ったザクのパイロットの2機はチベに帰っていく。
ロギは温存していたMAウムガルナで出撃。
ウイングスたちと合流したジントは、ロギとの会話の流れで自分がジオン軍人である真実を明かして戦死。
ジントは毒ガスの効果を調査する部隊、ロギはその毒ガス散布の実行部隊としてジントと共に行動していたのでプランダーのことも知っていた。
アイフィールドにビームコーティングを施したウムガルナに苦戦しつつもコーティングの施せない位置を狙い撃破に成功する。
宇宙にあるズゴックEの腕。
シュテンドウジが戦力差を覆しすぎ。素人の乗るMSに負けてるジオン残党の軍人弱すぎでは?
ジントはジオン軍なのでドムを扱えたそうだが、ジオンにいた時にまだドムは無かった。
ロギがなんでドムに乗ってるのがジントだと気付けたのか分からない。声色?
・9話「傷跡」
8ページ
気まずくなったジントの部下たちは全員、ウイングスに言われるままプランダーから出て行った。
再び目標をルオンズに向けたカインは長距離ブースターを装備したジムスナイパーカスタム単独でギムナシオン2への偵察に出る。
3巻
・10話「暗殺計画」
ギムナシオン2に潜入するカイン。
そこでは、ちょうどルオンズの退任式が行われていた。
狙撃ライフルを壇上に立つルオンズに向け狙いを付けるが、シャドウズのチーム6に見つかってしまう。
ルオンズの悪事を明かし彼らも騙されていると説明をすると一応は見逃してもらえた。
確たる証拠を持って来れば協力するという約束を付け、この場は引き下がることになる。
チーム同士で交流が無いのか、チーム6はカインの顔を知らなかった。カインは知ってた。
・11話「代償」
カインが戻った時、付近を捜索する連邦軍機がロディニアの港口へ侵入しようとするところだった。
プランダーも下手に動けない状態。
カインは自動操縦のジムを放出して追いかけさせることできり抜ける。
実にMS4機と戦闘機2機とその母艦がみんなジムを追いかけて行った。
連邦軍にも目を付けられ、海賊を続けるのも潮時と感じるシュテンドウジのメンバーだった。
・12話「密会」
一年が経ち、
海賊をやめたウイングスたちは海賊から宇宙船を護衛するマリアシールド社という民間防衛会社になっていた。
業績を重ねたマリアシールドは既にこの業界を独占するに至っており、
取引先として既にルオンズとの仕事も取りつけて信用を得ていた。
ようやく準備が整い計画を実行に移す時が来た。
まずカインは自分をこれまでのルオンズの行いを知るジオン残党をだと偽って彼と連絡を取り協力を申し出る。
ルオンズはまんまと興味を示し、会合場所であるサイド1まで足を運んだ。
サイド1まで護衛として同行したウイングスたちと共に、一人になったルオンズの拘束に成功する。
マリアシールド社の成功の裏にはマハガンが率いているファラク残党の力添えがあった。
護衛を依頼された船を襲うように仕向けて八百長試合を行っていたのだ。これによりマリアシールドの需要と実力を示した。
依頼は殺到し、サイド6に本社を持ち、フォンブラウンとサイド2に支社を持つまでに成長した。
海賊廃業に当たってプランダーはディフェンダーという名称に変更された。
詳細な戦力は不明だがディフェンダーはジム2の改造機を所有していた。
・13話「黒い炎」
カインは苦しみを与えるためにルオンズを殺さず拷問を行う。
ルオンズの監視役を任されたミリハスだったが、彼はカインの存在を セリアたちを危険に巻き込む疫病神 だと考えていた。
・14話「要請」
いつかの約束通り、ルオンズが自らの悪事を証言した映像をホーグの元に持参するカイン。
ヘルズゲート襲撃の協力を求めると、訓練に飽き飽きしていたホーグは実戦ができると喜び快諾する。
カインはチーム6が正式な任務として出撃できるように、ルオンズに芝居をうたせた。
ヘルズゲートに囚われている自分を救出して欲しい。ただしチーム6だけで、と。
それを真に受けた新任の大佐は武装も作戦もすべてホーグたちに丸投げした。
そんな馬鹿な。
カインはシャドウズ全員を巻き込むかという提案を断った。
チーム6なら死んでもいいらしい。
●チーム6の戦力
3人それぞれがジムストライカー改のカスタム「メタルスパイダー」に乗る。
リーダーであるホーグはサイド1のスラム育ち。
物心ついた時から親はおらず窃盗グループに属していたが、待遇の悪さから主人を殺して組織を乗っ取る。
そこへ視察にきたルオンズと出会い、戦災孤児のふりをしてシャドウに入ったという経緯があった。
ちなみにサイラスもホーグのいた窃盗グループの人間で、ローデシアンは吸収合併された別の窃盗グループの人間。
・15話「休暇」
ヘルズゲートへの攻撃に備えて休暇を取ったウイングスだったが、
シュテンドウジを巻き込みたくないと考えていたカインは同じ考えのミリハスの協力を得て密かにルオンズをジム2のコクピットに運び出す。
その後、無人のランチを発進させ、それを追うふりをしてチーム6のいるアレキサンドリア級イスマイリアと合流した。
カインは用意させたジムスナイパー2に乗り換える。
4巻
・16話「忍び寄る影」
5ページ
カインに脅されたルオンズは、ヘルズゲートに連絡を取りシャドウズの処刑を頼む。
・17話「報復」
それから3日後
オートパイロットのジム改に乗せられたヤージはヘルズゲートの攻撃で死亡。
『処刑』が終わり油断したところにカインとチーム6が二手に分かれて奇襲を掛ける。
即座に8機のMSを全滅させるが、それで終わりではなかった。
追加で送り込まれた9機のMSのうち1機は改造人間の操縦するグールだったがこれにも苦戦しつつ勝利。
最後の切り札として登場したのはIフィールドを搭載するアッザムタイプのMAゲンブが2機。
カノラは逃したカインがいつか復讐に来ることを予期して、ザルフとリネマの遺体を改造してゲンブに組み込んでいた。
ザルフ機はチーム6の3機で相手にする。MSを破壊されるが内部に入り込んでザルフの頭に刺さったコードを引き抜くことで機能停止させた。
一方、カイン1機ではゲンブを相手にするのは無理だった。
脚部を破壊されて絶望的な状況を救ったのはセイバーブースターに乗ったシルバーヘイズ。
ここから3日前
気分が晴れないからといってミリハスはカインと共謀していたことをウイングスに明かす。
ウイングスたちは即座に会社の所有するスペースシップ ブルフィンチ に連絡を取り地球へ降りる。
中東の採掘所というアバウトな情報とセリアの勘によってヘルズゲートに辿り着いたのだった。
セリアのハイブーストジムは白兵戦を行っているチーム6の援護に向かう。
新たにザク1が5機出現するが、頭部だけを破壊してチーム6の3人が乗っ取り敵歩兵と戦う。
ウイングスの力を借りてゲンブの内部に侵入したカインはリネマの遺体の前で立ち往生する。
その間も戦闘を続けるゲンブによってピンチに陥るセリアとウイングス。
ようやく決意を固めたカインがリネマの入ったカプセルを破壊したことによってゲンブが機能を停止。
基地内部に籠城するカノラを始末してカインの復讐が終わった。
生物学者であったカノラがジオンに亡命したのは開戦前、軍の兵器開発を断ったことで連邦軍に妻と娘を殺されたことがきっかけだった。
そのままオデッサの基地に逃げ込み、マクベに直訴して結局兵器開発に従事することになった。
オデッサの戦いに敗れてからは拠点を南東に移し、炭鉱夫のふりをして過ごしていた。
そこへ連邦軍の調査隊の指揮官としてルオンズが訪れ、見逃す代わりにシャドウズの処刑を請け負ってほしいと提案されて関係を持つようになった。
グールのパイロットはかつてカインに脅されてHLVを発射させた兵士。MSと同化するよう人体を改造されて眠くならない腹も減らないとのこと。サンボルのリユースサイコデバイスみたいなものか。
ゲンブに使われていたのは遺体から戦闘の記憶を引き出すという技術。特殊な訓練を受けた二人の記憶が活きたとのこと。
・ヘルズゲートの戦力
最初ドム4機、ドムバラッジ4機
追加でグール・ドムバラッジとドム系7機
ゲンブ2機
追加でザクワン 5機
・18話「消えた炎」
ギムナシオン2の墓にザルフとリネマを埋葬する。
後を追うために自殺を考えていたカインの前に二人の幻が見えて「生きろ」と言っている声が聞こえた。
・19話「出した答え」
マリアシールド社のパイロット採用面接にカインが顔を出す。
完。
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