【ガンダム重箱の隅探訪】 機動戦士Oガンダム
機動戦士Oガンダムは
Zガンダム以後の物語をZZとは別の空域で描くことに挑んだ連載小説
著者は霜月たかなか
掲載誌は月刊アウトで
1987年の6~9月に第1部、1988年の2~4月に第2部が掲載された。
計42ページだった。
ネットで探せばZZガンダムのパロディとしてのウソ記事を発見することができると思うが、それは1986年の3月号の記事で、今回取り上げる小説は、それから1年以上後に出たものだ。
・背景
宇宙世紀88年
舞台は火星
その衛星であるフォボスとダイモスには 武装集団 The OWN の軍事施設があるほか、
周辺のコロニーにも住民がいるが、火星の開拓は進んでいない。
この辺境の地が好まれ、コロニーのひとつ、コロンブスで様々な実験が秘密裏に行われ、連邦軍のMSも開発されていた。
はるばる地球から火星までやってきた地球連邦所属艦ホワイトムースの任務はその秘密裏に開発されたモビルスーツ0号の回収であった。
到着したコロニーの中は ろくに管理されておらず、ほぼジャングルと化していたが、現地人タロの協力を得て、かつての研究所であった朽ちた建物に辿り着く。
しかし同じタイミングで0号兵器を狙っていたThe OWN の兵士と交戦になってしまい、傷を負った艦長の頼みでタロがガンダムを動かすことになる。丘にカモフラージュしていた0号は、なんと60メートルの巨大なモビルスーツであった。
過去にThe OWN でMS操縦の訓練を受けていたタロは ガンダムと呼ばれたそのMSを動かすことに成功し、敵のモビルスーツ・ブシ3機を圧倒する。
続いて迫る赤いブシに乗るサルタンは相手の意識を読むことのできるニュータイプパイロットであったが、タロは意識を失うことで潜在能力を引き出すという、神経の障害とも疑われる能力を持っていたため互角以上に戦うことができた。
不覚にも隙をつかれ動力を狙ったサルタンの攻撃により0号ガンダムを貫かれるが、その巨体の空洞部分から9メートル大の別のモビルスーツが姿を見せる。状況が不利であると判断したサルタンは撤退するのだった。
連邦軍は資源を節約するために二つの方針を取っていた。
ひとつが少しでも数を多く見せるための大型のダミーMS、
もうひとつがMSの小型化であった。
そうして完成したのがこのHi-S (スモール) モビルスーツで、規格外であることからアウターガンダムと名付けられた。
ちなみにガンダムはグランドダミーからの由来である。
ホワイトムースを逃がすまいと襲い掛かるThe OWN の艦隊は不運にもコロンブスコロニーの爆発に巻き込まれた。
戦いはOガンダムとサルタンの乗るMSダイミョウの1機討ちとなり、2機はThe OWN の旗艦トヤマに衝突。ついにはMSを降りての斬り合いにまで発展する。
決着が付かぬまま肩で息をする二人の間に入ったのは行方不明だったタロの妹のファナであった。サルタンに拾われたファナは今まで秘書としてサルタンに付き添っていたのだった。
騒ぎを駆けつけてやってきたのはThe OWN の首領であるヨイトモであったが、彼はタロとファナの父親であった。
久々の再会を果たす親子で会ったが、タロは彼の愚かな支配欲に反発して家から出ていった。そして今回も家に戻る気は無いと言い残して去っていく。その際に、Oガンダムは遠隔操作されたかのようにタロの元に呼び寄せられたが、それはタロよりも優れた能力者であるファナの力によるものであった。自身の能力に狂人としての負い目があった彼は同じ能力者のファナも乗せてガンダムを発進させた。
1部完
The OWN が失った戦力を回復するだけの時間が過ぎたころ、
ヨイトモは病気により亡くなっていた。総司令の跡を継いだのは親衛隊長のユキノジョウという男。
タロとファナは火星に降り立ちそこで生活をしながらも決着の機会をうかがっていた。そして今はOガンダムに搭載されたミノフスキーコンバーターの開発者ゲンサン博士の元を訪ねていた。
このコンバーターによって生成される新種のミノフスキー粒子は、謎の強い力で従来のミノフスキー粒子と引き合う性質があり、それを運動エネルギーとして利用することが主な用途である。
実はThe OWNの狙いはOガンダムの持つミノフスキーコンバーターであり、それによって火星を動かして地球の位置に置き換え暮らしやすい環境を整えることだった。
博士に修理を頼むためにファナがOガンダムを呼び寄せるが、タロたちの行動がスパイに付けられていたため、移動中のOガンダムを奪われてしまう。
奪われたガンダムを取り返すために発射台のある火星中央のThe OWN基地へ侵入するタロ一行。
タロはシャトルに積み込まれる前のOガンダムに乗り込むことに成功し、エリート集団デカダーンスの闇蜘蛛六人衆を相手に勝利する。
安心したのもつかの間、戦闘のさなかに博士が連れ去られてしまっていた。博士がいればガンダムのコンバーターは必要ないということだ。
決戦の舞台はフォボス
そこにはThe OWN が再現した未完成の巨大ミノフスキーコンバーターが鎮座しており、捕らえられた博士もそこにいた。
追いついたタロは そこで博士と再会するが
連戦で消耗しているOガンダムにユキノジョウの乗るブギョウが襲い掛かる。
博士がOガンダムのコンバーターを修理することで形勢は一気に逆転する。決死の体当たりを受けたブギョウは巨大コンバーター目掛けて吹き飛ばされる。暴走したコンバーターはフォボスを地球へ飛ばし、フォボスは光と化して砕け散った。
完
左が主人公のタロ・アサティ
右がアウターガンダムから出てきたアウターガンダム
・感想
実際の文章は不真面目としか言いようのないノリで、そもそもの趣旨もギャグものだったのだが、それを真面目に要約した私は偉い。
興味を持って原文を読んだ人がいたら受ける印象はだいぶ異なることでしょう。
この作品におけるブシドーとOガンダムの名前はしっかりと「ガンダム00」に受け継がれ、何かの間違いで原作扱いされたら面白いのに。
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