ウィッチャー3の感想
オープンワールドのアクションRPG
「ウィッチャー3 ワイルドハント」をsteam版のDLC無しで200時間以上プレイ。
内訳は
1周クリアにサブクエストも終わらせて110時間。
引き継ぎの2周目は最高難易度にして55時間使って、
あとは分岐用に取っておいたデータから検証や確認みたいなこともしたらそれくらいの時間になっていた。
ウィッチャーシリーズの開発会社はポーランドのCDプロジェクトで、
ウィッチャー3はゲラルトの物語の完結作であるという。
私はいきなり3から始めたのでシリーズ未経験者にとってどうだったのかというと、前作の登場人物が多すぎて話の流れを理解するのが大変だった。特に敵味方の利害関係が曖昧な人が多くて1周目は訳わからなかった。その反面、2周目をやった時に答え合わせをしているような感覚で理解が深まってストーリーをより楽しむことができた。3から始めた人にシギルーベンの正体がディクストラだったとか言われても感動も無ければただ認識を阻害する原因でしかなかった。
話の本筋は主人公ゲラルトの娘のような存在であるシリを探すのが目的で、メインクエストの大部分がシリの手がかりを聞いて回ることに割かれている。まず主人公がウィッチャーであるという経歴や、シリと出会った経緯みたいなものは、説明がないわけではないが特に掘り下げて説明しないので、そこで突き放された感じはあった。言われるまま思い入れのない知らない人を見つけるために知らない戦友を頼ると、知らない旧友と偶然再会して、画面では和やかな雰囲気なんだけど誰ひとり分からないみたいな状況で、もはや3からの新キャラの方が少ないような状態だったので、過去作を経験していなかったのは後悔が残る所だ。
という訳でウィッチャーをプレイするなら前作から始めることをお勧めしたい。
プレイ時間を見てもらえれば分かる通り贅沢な作りのゲームで遊び応え抜群なのでお勧め度は10点中9点
●広くて奇麗な世界
広大なマップを歩き回れるのがオープンワールドということで、ウィッチャー3のフィールドも作り込みのレベルがすごい。
緑豊かな山林の奥深くに祭壇や砦や洞窟や戦場跡やただ広いだけの農園などあって、その世界の生活が感じられる。
RPGの中でも主人公に個性があるタイプなのでストーリーの導線が明確にあり、世界を放浪したり探索する動機はないものの、レベル上げのためにサイドクエストをする必要はあるので、きっかけ作りは用意できていると思った。別にメインストーリーを止めて自由に歩き回ってマップを埋めていくような冒険をしてもペナルティはないわけだし。
序盤ではいまひとつ凄さが感じられないなと思ったのは、最初のマップがホワイトオーチャード地方という地域だったからだ。
ホワイトオーチャードは街といえる区画が2つしかなくて、面積もさほど広くない。道は続いているのに「これ以上進めない」というメッセージが出て戻される。
メタ的に察すると、様子見として このマップを見せてから、明らかに規模の異なるヴェレンとスケリッジでびっくりさせてやろうという意図だったように邪推する。
このゲームのワールドマップは簡潔にいうと3つに分かれている。
ストーリーを進めればヴェレンのマップに移動可能になって、この地域が一番広くて居住区画も数えきれないほどある。
ヴェレン地方から北はノヴィグラド地方と呼ばれ、ヴェレンと地続きでひとつのマップ上に存在する。ゲーム内で分けて認識されているものの、マップとしてはひとつだ。で、この建物が密集した貿易都市ノヴィグラドはゲーム内最大の都市でマップを覚えるのが困難なくらい広くて高低差があって市場や劇場などがあることで景観が賑やかで散策好きとして至上の喜びを感じられる。
いろんな建物がある中で入れる家ってのは限られていて、この街には娼館や浴場があるのも特色のひとつである。入れるか入れないかっていうのは操作キャラクターが興味を持っているかどうかで判別されるはずだと思っている。つまりそういうこと。
ノヴィグラドから船を出して到着するスケリッジは島々の諸国から成り立っているため、海面積の割合が多い。それはいいとして、海に沈んでる密輸品がマップ上に表示されるので、それを全部回収していく作業は辛かった出来事として思い出に残った。それでもマップは埋めたい。
ファストトラベルは街の入り口にある立て札からしか移動することができない。これは結構不便だった。しかも場所によっては板ではなく石碑だったりして見逃すこともあるのが玉に瑕って感じだった。
●ウィッチャーの感覚
ウィッチャーというのは怪物退治の専門家で、怪物の生態に詳しい。なぜウィッチャーが怪物に勝つことができるのかというと、知識に基づいた対策を準備して挑むからだ。旅をしていると村人から怪物退治を頼まれることがあるが、そういう時にゲラルトはまず被害者の死体検死を行う。身体能力一本で戦うのではなくモンスターの特徴を見分けて冷静に対処するという部分にインテリジェンスを感じる。
最初のグリフォン退治では まさにその部分が強調されていて、グリフォンが人を襲った動機から調査して、グリフォンの好む臭いを付けた囮で待ち伏せをして戦った。こういう職人的な部分にはウィッチャーという作品の個性が感じられて面白かった。
そしてゲーム中のシステムとしても、ウィッチャーは感覚を研ぎ澄ませることで かすかな足跡や臭いを見つけることができる。集中するための操作はボタンホールドで、押している間は足跡がエフェクトで強調されてミニマップにも表示が出る。この操作は度々行うことになるゲームの特色のひとつである。
使い道は痕跡探しだけでなく、アイテムの有無も知ることができて、これが便利だった。
RPGでは全ての民家をアイテムが無い状態にするのが私の理想なのだけど、ウィッチャーの感覚を使うと、遠目でアイテムの有無が判別できるので、個別に箱を漁って空かどうかを調べる必要がない。
●片手間ではないサイドクエスト
ウィッチャー3のサイドクエストを消化していて気づいたことがある。
その依頼内容にモンスター退治はあっても、何かを持ってこいという『おつかい』がほぼなかった。人々の依頼として何かが欲しいというのはごく自然な望みのように思えるが、頼む相手をわきまえているからなのか「自分で買って来ればいいだろ」と言いたくなるような依頼は無くてサイドクエストといえども真面目に作ってあるなという誠意を感じた。キャラクターの立場として基本的には何でも屋ではなくウィッチャーとして振舞っているといえる。
ゲームを進めると複数のサイドクエストを同時に受け持つことになるだろうが、クエストのUIがしっかり出来ているため遊びやすかった。
クエストには推奨LVが設定されていてタイミングを間違えることが無い。
地域がアイコンで表示されていてどこに行けば進行できるか分かる上に今いる地域のものが優先して表示される。
クエストを受けた経緯と現在の経過が文章にして状況に応じて更新される。
この機能のおかげで本ゲームの評価がメインクエストだけの評価にならず、サイドクエストも含めて良いゲームだなと思える出来栄えになっている。
ここで一緒に説明すると、キャラクターのレベルの経験値は基本的にクエストで得るというシステムが今までにない体験で意外だったが、理にかなっていた。ランダムエンカウントするモンスターとの戦闘もあって、倒せば普通のRPGのように経験値は手に入るのだが、クエスト達成時に手に入る量と比べると時間効率が段違いなほど少ない。そういうこともあってフィールドで出会う敵をスルーして進めても、ストーリーを進めるだけで自然と適正なレベルになるような仕組みになっていた。そして、ちょっとレベルを上げたいなと思った時に未消化のサイドクエストを潰していくという遊び方ができる。
●複数用意された解決手段
RPGというからには敷かれたレールの上を進むだけでなく、自分なりの道筋を歩みたいものである。
ウィッチャー3はまさにそうした選択の場面が多くて、ひとつのクエストに解決策が複数用意されている作り込みに感心した。
ちょっと思い返すだけで
例えば血まみれ男爵の埋めた死体はラバーキンにしなくても進行するし、
木の精霊を倒すかどうかで沼の子供たちに影響が出たり、
ホアソンジュニアを生かしておくとシリの用事を済ませる時のイベントが変化するし、
ヤルマールと巨人を倒す前にヴィキを助けることができて、ケィアモルヘンに来てくれるようになるが結局そこで死んだり、
ウダルリックに憑りついた魔物を騙すためにセリスの考えた案を台無しにしてもウィッチャー流のやり方で進行するし、
エンシェントレーシェンを倒すために老人のしきたりを取らずに若者の意見を聞いたら結末がえらいことになったり、
幽霊屋敷でサラを追い出すと後にジョニーと仲良くしているところに遭遇できたり、
ローズマリーアンドタイムの内装を変えられたり、
スケリッジの王の候補は2人ではなく3人いたり、
ランバートに戦死パターンがあったり、
ラドウィッド暗殺後のディクストラかロッシェの2択、
キーラを抑止しないで進めると火あぶりにされた死体と再会したり、
拷問を受けてるのを知らんふりしてると本当にトリスの爪がはがされてたのも衝撃だった。
●戦闘
戦闘方式はアクションで装備を軽装にするか重装にするかや、補正の比重を剣にするか魔法にするかなどが選べる。
ボウガンは基本的に水中でしか使わなかった。
選択した難易度によってダメージ比率が変わるのだと思っている。
最高難易度デスマーチでも1周目との差を大きく感じなかったのは2周目で装備が揃ってたからだろうか。1周目は1周目で初見なりの苦労をして、2周目は攻略法が分かった上で挑むから1周目ほどの苦労は無かったともいえる。デスマーチで一番困ったのはシリを操作して魔女と戦う場面だ。回復薬も魔法も使えないだけでなく3対1だから常に敵を視界に入れながら攻撃されそうなタイミングはじっと我慢してるという耐久力を試される戦いを強いられた。どっちかというとゲラルトにこっちを任せたい気分だった。
ちなみに難易度はいつでも変更できるが、実績には影響が出るタイプ。
魔法は最初の6種類と、アビリティポイントを消費して別パターンに切替ができるので12種類といえる。新しいものが手に入るようなイベントはないのが残念。JRPGのようにレベルアップで技とか魔法が増えるゲームではなかった。
ロックオン機能には結構ストレスを抱えた。敵キャラの動きは前後移動が多いのだけど、ロックオンしたままだと後ろに下がった敵と入れ替わりに近づいてきた敵に対して無防備を晒すことになって、近い奴を攻撃してくれよと何度嘆いたか分からない。
関係ないけど嫌いなキャラはギャスパール。
●引継ぎ
このゲームの2周目は「ニューゲームプラス」と呼ばれる。
字面でなんのことか分からないが、1周目のクリアデータの引継ぎニューゲームである。
1周目のデータしか引き継げないため、3周目は存在しないのだ。
引き継ぐのは
レベル、アビリティポイント、装備品、倉庫のアイテム、作成した錬金術。
アビリティポイントについては(DLC無しで)アビリティを全部取るのに必要なポイントは181
これは2周しても足らない数字だ。そもそも全部取る価値がないというのもあるし、1000Gでリセットできるアイテムを買えるので使用する分には気にする必要はない。ただ、1周目に取れる分を全部取っておかないと2周目で最大値にならないので気持ちが悪い。
実は力の祠でアビリティポイントが取れることには2周目で気付いた。それは長押ししてれば各祠からひとつずつポイントが貰えるということだが、自分は長押しの長がよく分かってなくて、たまにポイントが増えることに疑問を持っていた
セリスルートだと辿り着ける力の祠が1か所増えるらしい。
他に気を付けたいこととして、
ドップラー、エンシェントレーシェン、サキュバスには見逃す選択があるのだが、倒すと抽出液が作れるので1周目に作っておくと2周目に好きな方でロールプレイできる。
1周目で取ってないなら2周目は取っておきたい。
ヴィジマでタオルをその場に置いておくと戻ってきてから拾える。
これは本当に極限の話だけど、入手できるアイテムっていうのはゲラルトのレベルに依存している。つまり1周目で目一杯レベルを上げておかないとユニークアイテムなのに中途半端なレベルのものになってしまう問題というのが一応ある。
引き継がないもの
クエスト進行度、クエストアイテム、書物、怪物図鑑、鍛冶リスト、地図
●その他雑な感想
歩いているとウィッチャーというだけで唾を吐かれるのが不快。
洋ゲーにしては女性が奇麗。
PC版にはカメラモードがある。
セイレーンやサキュバスの死体を眺めてた。
ストーリーがしっかりしているだけあってムービーシーンが長い。
steamのグローバル実績が低すぎる件
チャプター1のクリア率が6割
ゲームのクリア率が2割5分
| Permalink | 0
Comments
1からやっても
小説の登場人物が多すぎて話の流れを理解するのが大変
なので変わりなく大丈夫です
Posted by: | July 07, 2023 17:55
なるほど。
Posted by: ヒュポポリクス | July 07, 2023 18:39