November 29, 2022

【ガンダム重箱の隅探訪】ネメシスの天秤

『ガンダムカバード ネメシスの天秤』はホビージャパン出版のRPGマガジンに連載されたTRPGのリプレイである。
つまり小説ではないものを小説風に読めるようにしたものだ。
連載期間は1998年の2~9月と長期であるうえ挿絵イラストもしっかりとした豪華で気合の入った企画だが、リプレイであるが故に作品として扱いにくい微妙な立ち位置にいる。

何冊も集めるのが面倒な人はRPGマガジングレイトVol.3に(省略はあるが)全8話分が纏めてあるので1冊で全容は分かる。
1997年2~4月には偵察部隊激戦譜という同じようなリプレイ企画もあったが、設定がカバードより地味なためか認知度は劣る。


著者は高平鳴海
キャラデザは田島直(中村プロのアニメーターとしてVとGガンにも参加)
全41ページ

舞台背景は宇宙世紀79年の11月
主役機のモビルスーツは換装して戦うハイスペックな実験機で、カバードという名称なのはコアファイターが本体だからだろう。
数の不利を覆し数多くのMSを相手に戦い抜く様はエースさながら。
ニュータイプパイロットが複数出てくるし新型MAも複数出てくるしで、技術レベルの設定は好き勝手にやってるように見えるのでファーストガンダムの時代には合ってないと思う。原作キャラとの絡みがあるのは見どころで、一年戦争時のブレックスの暗躍が伺える内容もある。
いざ要約してみると起伏の多いシナリオで、端折りはしたけど あまりコンパクトに収まらず大変だった。

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November 11, 2022

逆襲のシャアをコンテ片手に細かいところを見る

先月発売になった逆襲のシャアのでかい設定資料集を読み終えた。
奥付では発行日が9月22日になってるけど実際届いたのは10月26日だった。
面白かったのは永野護氏のインタビュー。だって逆襲のシャア関連のインタビューで名前出ることなかったから。
富野監督のインタビューは再録だったので読み飛ばした。


設定集の279ページに「ベルゲドーガ」という没MSを発見。
ドライセンのシャーシを利用した作業用MSらしい。MSVに加わる日も近いか?


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October 25, 2022

【ガンダム重箱の隅探訪】 機動戦士Oガンダム

機動戦士Oガンダムは
Zガンダム以後の物語をZZとは別の空域で描くことに挑んだ連載小説
著者は霜月たかなか

掲載誌は月刊アウトで
1987年の6~9月に第1部、1988年の2~4月に第2部が掲載された。
計42ページだった。

ネットで探せばZZガンダムのパロディとしてのウソ記事を発見することができると思うが、それは1986年の3月号の記事で、今回取り上げる小説は、それから1年以上後に出たものだ。


・背景
宇宙世紀88年
舞台は火星
その衛星であるフォボスとダイモスには 武装集団 The OWN の軍事施設があるほか、
周辺のコロニーにも住民がいるが、火星の開拓は進んでいない。
この辺境の地が好まれ、コロニーのひとつ、コロンブスで様々な実験が秘密裏に行われ、連邦軍のMSも開発されていた。

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July 03, 2022

Bクラブから知る Z・MSV

Bクラブというのは1985年に創刊されたバンダイ発行の雑誌。
その6号にゼータガンダム・モビルスーツ・バリエーション、通称Z・MSVの経緯が載っている。
最初に藤田一己によって10点のMSがデザインされ、プラモ化の予定もないのでスクラッチして設定と共に紹介するという連載企画であった。

その10機とは百式改、ガンダムマーク3、ネモ3、リックディアス改、ガンキャノンディテクター、FAガンダムマーク2(重装甲タイプ)、ゼッツー(Zガンダムマーク2)、量産型ゼータ、プロトタイプゼータ、メタス改、であったらしい。

一番古い設定なので既に通用しなくなったものもあるかもしれない。だとしても設定の変遷を辿ることは俯瞰的に見るうえで大事なことだし、歴史として設定の成り立ちを知ることができるので面白いから情報としての価値が失われることはない。

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June 20, 2022

グレミー軍のモビルスーツ

ギレンの野望アクシズの脅威のデータ収集に取り組んでいて疑問に思ったことがあったので調べてみた。

このゲームはタイトル名の通りZZと逆シャアの要素が加わり、新たにグレミー軍でもプレイできるようになっている。そこで運用できるモビルスーツの多くがグレミー軍仕様という名称でグレーのカラーリングになっていて、通常カラーとは別のユニットとして登録されている。なんともマニアックで素敵な仕様だと思う。

しかし、そのグレミー軍仕様のMS達、ずいぶん種類が多いようだけど活躍するような場面は少なかったはずだし、半分くらいは原作に出てないんじゃないの?
もしいなかったらゲームオリジナルMSという判定をしないといけなくなるのが面倒くさそうだ。まあ、一応そうなるんだったらきっちり把握しておきたい。


まずゲームに登場するグレミー軍仕様の存在するMSを列挙しよう。
Rジャジャ
ガザC
ガザD
ガゾウム
ガルスJ
シュツルムディアス
ズサ
ドライセン
バウ
ハンマハンマ

例外として
アイザックは通常カラーが灰色で、よりポピュラーと思われる青色は青の部隊仕様として扱われている。実際劇中でもアクシズでグレーのアイザックが運用されている場面がある。
ザク3も最初から灰色なのであえて分けなかったのかも。


さあ、この中で どれがアニメに登場しているのか?どれがゲームオリジナルなのだろうか?



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April 01, 2022

電撃Hマガジンの連載企画 ジオンの系譜MSデータファイル

ギレンの野望ジオンの系譜のデータを集めているところで、記事としてまとめたいけどまだ間に合わんので別のこと書く。
ジオンの系譜はPSP版をメインに調べているけど、PSとかDCもあるので苦戦中。
それに1部を終えても第2部があって、2部の状況が3種類あって連邦とジオンで6種類の状況を調べているので苦戦中。
そんな状況の中モチベを維持するためにペースは急ぎすぎないで他のこともやってる。

スキャナー買って雑誌の自炊を始めたんだけど、4000面はスキャンしたのに全然終わる気配がない。
スキャンした雑誌の中に電撃ホビーマガジンがあって、ちょうどジオンの系譜の特集をしていたので取り上げてみる。

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「戦況次第でジオンを勝利に導くことも可能なこのゲームは、物語の展開次第で様々なMSVの生産が可能となる。
このifの部分をパワーアップした内容となるこのゲームに登場するMSVをバンダイビデオゲーム事業部公認のデータファイル形式で紹介」

ということで既存モデルの改造もしくはスクラッチビルドでジオンの系譜に出てくるMSを再現しており、機体説明の文章も付いていて面白かった。
そもそも歴史のifの機体で、ゲーム内でも細かい機体解説は載って無いため設定の記述があるというだけで少ない資料として重宝し、ゲーム発売前からの企画なので初出に近い情報としても価値がある。


掲載リスト

1999年
9月ルウム戦役
10月ランバラル
12月ゲルググとギャン

2000年
1月グフ
2月量産型ギャン
3月高機動型ギャン
4月ペズン計画1
5月ペズン計画2
6月ジオンの系譜
7月Zの時代へ


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December 20, 2021

ブレイジングシャドウのストーリーやら感想

ブレイジングシャドウは2013年~2016年までガンダムエースで掲載された小説。単行本は全4巻。
著者は戦場の絆のプレイヤーとしても有名な板倉俊之。
「一年戦争が4年前」という記述があったので宇宙世紀0083~0084あたりのはなしだろう。


かんたんな要約
主人公は16歳の少年で連邦軍の特殊部隊に所属していた。その部隊のトップは悪い政治家だった。
利用され切り捨てられた主人公のチームはジオンの元に送り込まれて全滅する。
これは辛うじて生き延びた主人公の復讐劇



話の規模に対して登場するオリジナル機体が多め。
そして宇宙世紀0083という設定との整合性は軽視されているように思えた。
なのでアムロとかマクベの名前が出てきたけど、そういうのと関係ない個別の作品として扱いたいと思った。

RGM-79GB ハイブーストジム(ジムコマンドベースの個人カスタム)
RGM-79CA ジムレイド(登場しない)
EMS-10F ヅダF
MA-04-X-3 ウムガルナ(ザクレロに近い)
MS-09F/Br ドムバラッジ(おそらくゾンクシーの個人製作)
YMS-23C グール(ゾンクシー作)
形式番号なし ゲンブ(ゾンクシー作 アッザムに近い)
セイバーブースター(セイバーフィッシュのカスタムでフェルナンド命名)


率直な感想として一番に来るのは、筆者の人を騙したいという意思が強すぎてめんどくさかったということ。
実は悪者でした、実は生きてました、実は騙すための演技でしたと、種明かしをした後に時間をさかのぼって改めて同じシーンを描く手法が多すぎて読んでる側としてはうっとうしかった。


Bbs


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April 12, 2021

ガンダムEXA VS ストーリーまとめ

データ世界に入り込んでガンダムの登場人物から戦闘知識を得るという体裁の『ガンダムEXA(エグザ)』。
その直接的な続編の『ガンダムEXA VS(エグザブイエス)』はガンダムエースにて2014年5月~2017年7月まで連載されていた。
単行本7巻構成でそこそこ長い。小競り合いで引き延ばしてる感じはある。
前半ボスアルアダ、後半ボストリムという風に2段階構成になっている。
Exvs1




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March 12, 2021

ガンダムの歌もの楽曲マイベスト

改めて自分の中の上位を決めてみたくて
持ってるガンダムのボーカル曲を全部入れてプレイリストを作ったら、アレンジ・歌詞違いを除いても400曲近くなったけど全部聞き直した。

その動機というのは、最近行われたランキングを見て定番の有名な曲ばっかりで満足できなかったからだ。
そりゃあ不特定多数からランキングを集計したら結局は知名度調査のような結果に収束して耳なじみのある曲が有利になる。

「アニメじゃない」は典型例で昔の自分はふざけた曲にしか聞こえなくて この曲は嫌いだったけど、OP主題歌なので嫌でも聞く機会が多かったから今では特に悪い曲ではないくらいの気持ちに落ち着いてる。
今回取り上げたランキングでは「翔べガンダム」が11位とか12位に入っているが、それが単純な曲としての評価じゃないのは分かるはず。曲の好みは その時々によって変わってもおかしくないものだから、記憶だけで決めつけで語らずに、せめて甘く見て全体の1/3程度は聞き直した上で投票してほしいと思う。そういう意味ではガチ勢だけのランキングも別で見てみたいと思った。こう思うのは自分が普段からガンダムの曲を聴く機会が多すぎて新鮮味を求めているからという視点も理解しておいてほしい。


ちなみにこれが最近のランキング


全ガンダム大投票 NHK(2018)

1 水の星
2 哀戦士
3 eternal wind
4 beyond the time
5 嵐の中で
6 フリージア
7 just communication
8 めぐりあい
9 Z刻を越えて
10 Re:I am
11 翔べガンダム
12 あんなに一緒だったのに
13 INVOKE
14 Raise your flag
15 永久のカナシ
16 暁の車
17 Rage of dust
18 ミーティア
19 月の繭
20 サイレントヴォイス

「フリージア」と「あんなに一緒」と「月の繭」の3曲がエンディング曲。
「暁の車」と「ミーティア」の挿入歌2曲が入っていてバランスが良い。


お願いランキング ABC(2020)

1 beyond the time
2 水の星
3 eternal wind
4 ターンAターン
5 暁の車
6 あんなに一緒だったのに
7 哀戦士
8 嵐の中で
9 INVOKE
10 just communication
11 ミーティア
12 翔べガンダム
13 めぐりあい
14 ignited
15 AURORA
16 Z刻を越えて
17 月の繭
18 永久のカナシ
19 フリージア
20 trust you forever

2018年のものと比べて2020年になると
「Re:I am」が20圏外へ、あと「raise your flag」と「rage of dust」という近年の曲が分かりやすく圏外に出て行った。でもそれが2018年のランキングであって、古い曲のまま更新されないよりは全然マシ。問題はそれに代わる新しい曲が入っていないということ。
こちらのランキングでは「ターンAターン」が圏外から急に4位にいるような不自然な上がり方をしていた。


「Unti-L」はユニコーンBlu-ray BOXのテーマ曲で、「cage」はユニコーン実物大立像のテーマ曲で、「destiny」は「mobile suit」に歌詞を付けたものといったように劇中で流れないガンダムのボーカル曲は多いから、そんなに知られてないでしょ。
他にも挙げるとG40のアニメに使われたTHE RAMPAGEの「SHOW YOU THE WAY」とFANTASTICSのTO THE SKY」も忘れてる人は多そう。

これを踏まえても踏まえなくても、全部聞き直した自分が逆張りして10曲を選ぶならこうだ↓



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October 09, 2020

ニュータイプとギャザースタイム

なんか今週忙しかったんで纏めきれなかったけど強行する
言ってることは浅い話なのでそのつもりで

Zガンダムの小説版を読み返して思ったこと

スニーカー文庫5巻の262ページ
『マシーンに人間の意思を投入して調和させて別の力を生む
これはニュータイプとは別の能力』

ゼータガンダムの構想にはギャザースタイムという概念があって、ゼータガンダムを媒体にして精神の同化が行われるという文献がある。

ファーストガンダムでアムロが行ったテレパシー
ゼータガンダム以降でカミーユが行った体を貸すという行為
この二人が同じ能力だとどうして思うのか。彼らをニュータイプと一括りにするのは危ないよねっていう話題の提起。
ニュータイプとされているシロッコでさえ身体を通して出る力というものを理解していなかった。

後にダブルゼータでジュドーも「みんなの力がガンダムに」といって同じようなことをやっている。
カミーユは尋問を受けている最中に床を通して宇宙を見た。車の荷台にいたカミーユと接触したジュドーも同じような光景を見た。このときにギャザースタイムの受け渡しでもしたんじゃないのかな。

逆襲のシャアでこんな台詞がある

まだそんなところにいる!
シャアと俺を、一緒くたに取り込むつもりだろうっ!
意識が、永遠に生き続けたら拷問よ。
わたしはあなたたちを見たいだけ・・
そりゃエゴだ!
わたしは、生きている間、あなたたちの間を浮いていたのよ!?
なら・・!シャアは、否定すればいいんだ!
・・でも、彼は、純粋よ・・
・・純粋だとっ!
(ハイストリーマー)


・・ララァ・スンか!
シャアと俺を、一緒くたに取り込めると思うなっ!
永遠に意識が生き続けていたら拷問よ。だから、その苦しみから逃れるために、私はあなた達を見たいだけなのに・・!
見境もなく、シャアと俺を、抱き込もうなんて思うなよっ!
・・私は、生きている間、あなたたちの間を、浮いていただけだったのよ!
それが、どんなに辛いことか、分からないでしょう!
そんな!・・シャアは否定しろよ!
・・でも、彼は純粋よ・・
・・純粋だとっ!
(ベルトーチカ・チルドレン)

ララァの意識は永遠に生き続けていて、アムロはララァに取り込まれるのを恐れているようだ。
『取り込まれる』とはどういうことなのだろうか?それこそがギャザースタイム。精神の同化のことだったんだよ!

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